2023年12月31日日曜日

これからのITインフラのエンジニア像を考える

 VMware Explore 2023 の発表を振り返りつつ、今後求められるエンジニア像を考えていきたいと思います。

 

なお、こちらは20239月に発表した内容からの振り返りとなりますので、トークでの模様はこちらの動画を見ていただけたらと思います。(ラスト10分が私のパート)


https://licensecounter.jp/vmware/movie/seminar_2309_vmwx-2023us-report.html

 

 


==オンプレ回帰を喜んで良いのか?==

 

さてさて、どこもかしこもEC2へ移行・・・という話も、気がつけば オンプレ回帰 という声が聞こえています。

 

たとえば、コスト(=従量課金で読めない、割高になる)や、責任共有モデルの限界(=自分で担保できない)といった理由があげられます。


ということは、これまでのインフラエンジニアへ主導権が戻ってきたと、歓迎してよいのでしょうか?


 



 

実はそうではありません。


いったんIaaSのメリットを理解した上での、オンプレニーズなので IaaSへ行く前とは求められることが変わってきます。


 



 

たとえばAWSを使うことで、開発者がインフラエンジニアにいちいち頼らないでも「片手間」で、インフラを構築できていました。


どうしてAWSはコードを書く延長で気軽にインフラをコートロールできるように進化しているのでしょうか?


 

それは、デベロッパーファーストにあります。「すぐに使いたい」「すぐにコードを検証したい」という理由です。


本当は、開発者には興味のないインフラ構築作業ですが、任せていては時間がかかる(=すぐに使えない)ので、<< しかたなく >> 自分たちでやっていたのです。


 

つまり裏を返せば、インフラ屋の常識には関心がないし、Firewallやセキュリティの設定が人によってばらつきがあるのも仕方のないことなのです。


この感覚で、オンプレ回帰にも求めてくるのは当然の流れですよね。


 



 

では、これまで仮想化など、インフラエンジニアがやってきたことは、このオンプレ回帰にどう向き合うのが良いのでしょうか?

 

仮想マシンを提供したら終わり?コンテナ実行環境を提供したら終わり? ・・・ではなくて、もう一歩先に目を向ける必要があります。

 

 

その環境は「何のために使われるのか」を、まず関心を持つことです。

 



 

この考えをクラウドネイティブ時代の言葉に置き換えるならば、プラットフォームエンジニアリングです。

開発者体験(Dev-eX)を向上させるための、プラットフォームを提供すること


 



 

たとえば、カタログを提供して、開発者がセルフサービスで使えるようにしてあげること。セキュリティーとかでの「やっちゃだめ」を定義したり、何かあった時のためのガードレールを用意するなど、のプラットフォームの提供です。

 

例えばTanzuはそういう世界観です。

 



 

コンテナ実行環境のTKGとかOpenShiftってどうなの?・・・という次元ではなくて、プラットフォームエンジニアリングを体現するのがTanzuです。

 

Tanzuはアプリケーションの開発、サービスのデリバリを最適化するための考えが土台にあって、その手段としてコンテナ/K8sが、その配下にインフラやセキュリティの知識が必要になる。それらのプラットフォームがTanzuなのです。

 

基盤を作ったらあとは興味がない・・という姿勢ではなく、K8sがどうして必要なのか、その後の運用やビジネスにFitしているのか、視野を広げて行くことが求められるでしょう。

 

 

==AIにどう立ち向かう?==

 



 

クラウド・AIの台頭によって、これまでの仕事はどうなるのか?

これまでは、サーバーやストレージを組む、ネットワークを組む、という作業で精一杯でした。

 

 



 

AIや自動化が進んで、インフラエンジニアは消滅するのか?というと、そうでもありません。

人にフォーカス、もしくは戦略にフォーカスとなります。

 



 

1:戦略のアップデート

世の中の動向にあわせて、市場や顧客が求めるものは変化します。それらに応じて、適切なデザイン・ポリシーを見直しをすること。

何が正しいのか?どうしたいのか? 最後に決めるのは人間です。 

 

2:リテラシーのアップデート

サポートやヘルプ、セキュリティ教育など。アナログなインタフェースというのは、人間だからこその領域です。

 



 

これらを支援するために、センサーとなる情報をたくさん集めて、AIで分析。可視化して、レコメンドして、自動運転というサイクルを回すのが、将来の姿でしょう。

 

 

買収でざわついてますが、2024はさらに激動の年になりますね。